『SMAP×SMAP』謝罪放送で草彅剛に辛い言葉を承諾させた放送作家の罪悪感

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2016年1月18日のフジテレビ系「SMAP×SMAP」生放送での、歴史に残る“公開処刑”と言われた悪名高き生謝罪(謝罪会見)の回を担当した放送作家の山内宏泰氏が、当時の“罪悪感”について、2024年10月8日配信の「文春オンライン」の記事で述べています。

問題の箇所は「ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています」という部分で、山内氏はこの辛いセリフを草彅剛さんに承諾してもらった際に、罪悪感をを覚えたそうです。

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SMAPが“公開処刑”させられた異様な雰囲気の生謝罪放送

私はその“公開処刑”となった2016年1月18日の「SMAP×SMAP」生放送を観ていました。

天下の大スター・アイドルのSMAPの5人が黒スーツで横一列に立っていました。真ん中の白っぽいネクタイで“平時”の空気感の木村拓哉さん以外は、黒っぽいネクタイを付けていて、強張った表情で、異様な雰囲気でした。

後で知りましたが、スタジオ内には当時のジャニーズ事務所の首脳陣、つまりジャニー喜多川社長、メリー喜多川副社長、藤島ジュリー景子副社長らが、ずらりと並んでいて、SMAPメンバーたちに、ものすごい“圧”をかけていたそうです。

なぜSMAPは生放送での謝罪で“公開処刑”させられたのか

なぜSMAP、正確には木村拓哉さん以外の4人のメンバーが、“公開処刑”させられたのでしょう。

それは、2015年の終わり頃に、SMAPのメンバーたちがマネージャーの飯島三智さんと共に、当時のジャニーズ事務所から独立を企てたものの、土壇場で木村さんだけ翻意して独立しないことを決意したからでした。

SMAPの独立は、別の大手事務所の首脳(田辺エージェンシーのトップの人とみられていました)の後ろ盾があったものの、5人全員での移籍が条件だったため、木村さん1人が抜けたことで、移籍話は頓挫してしまいました。

木村さんの奥さんの工藤静香さんは、当時ジャニーズ事務所を仕切っていたメリー喜多川副社長と懇意にしていました。

このため、おそらくメリー氏が工藤静香さん経由で、木村さんがジャニーズにとどまるように説得工作をしたのだろう、とみられています。

以上の経緯のため、SMAPのメンバーたちが自分たちの冠番組「SMAP×SMAP」で生謝罪させられたのですが、より直接の理由としては、木村さん以外の4人のメンバーに対して怒り心頭のメリー氏が、生放送で謝罪させようと決めたからだと、私は確信しています。

当時のジャニーズ事務所では、社長のジャニー喜多川氏は新人プロデュースを仕切っていましたが、それ以外の事務所の経営全般を仕切っていた実質的な最高権力者は、姉のメリー氏でした。

民放キー局の公共の電波でのテレビ番組を言わば私物化して、個人的な怒りでSMAPの4人に生謝罪させて制裁を課する、というとんでもない非常識行為をテレビ局に呑ませることができたのは、メリー氏以外考えられません。

草彅剛が担当した重要セリフ:『ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています』

この2016年1月18日の「SMAP×SMAP」での“公開処刑”の生謝罪の段階では、まだSMAP独立計画の頓挫についての詳しい情報は、世に出ていませんでした。

この謝罪生放送が始まった時点では、SMAPが独立しようとしたものの、何らかの理由で頓挫したらしい、ということしか、分かっていません。木村さんが翻意して他の4人の独立計画から離脱していたことなど、知る由もありませんでした。

このため、草彅剛さんが無表情に淡々と述べた以下の言葉を聞いても、最初私には、何のことやら、さっぱりわかりませんでした。

「今回、ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています。5人でここに集まれたことを安心しています」

私がまず驚いたメンバーコメントとしては、最後の締めの言葉を、リーダーの中居正広さんではなく、木村さんが述べたことでした。木村さんは、穏やかにこう言いました。

「最後に、これから自分たちは、何があっても前を見て、ただ前を見て進みたいと思いますので、みなさんよろしくお願いします」

まるで、木村さんがリーダーみたいでした。そうなると、その直前に草彅さんが言った「今回、ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています」というのが、重大なフレーズだったことに、気づかされました。

「謝る機会を木村君が作ってくれて」というセリフには、木村さんは他の4人とは違う立場だった、という意味合いがありました。4人は謝る立場で、木村さんは謝る必要がなかった、ということです。

おそらくメリー氏は「木村拓哉は私たちの側」で、後の4人は(メリー氏らに)悪い事をしたから謝罪している」と視聴者に伝えたかったのでしょう。

木村さんがお膳立てして「ジャニーさんに謝る機会」が設けられて、おそらくジャニーさんは4人を許してくれたのでしょう。 そして、肝心のメリーさんに4人が謝る機会は、この「SMAP×SMAP」の謝罪生放送でした。

最も辛いセリフを草彅剛が承諾してくれた

上記の「文春オンライン」の記事内で、放送作家の山内宏泰氏は、辛くて重大なセリフを草彅剛さんに担当してもらった経緯について、こう述べています。

「生放送部分のセリフはもちろん事前に決めていましたが、生放送前に急遽、プラスで入れなければいけない言葉ができました。『いま、僕らはここに立てています』という言葉をメンバーに言ってもらわなければいけなくなった」

なお、記事の中では「いま、僕らはここに立てています」の部分だけ述べられたいますが、正確には、この一文は「ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています」というものでした。木村さんの名前をこの種の記事で出すことは、今もNGのようです。

山内氏はさらに、こう述べています。

「このセリフをメンバーのだれが言うかで、スタッフは悩みに悩みました。とても辛い役。けれど、だれかが果たさなければなりません」

「僕らスタッフが、そのひとことを言ってもらえないかと頼みに向かったのは、草彅剛さんのもとでした。彼の優しさと責任感の強さに、僕らは甘えてしまうしかなかったのです」

スタッフに頼み込まれた草彅剛さんの反応については、山内氏はこう述べています。

「剛さんはこちらの目をまっすぐに見つめて、静かな口調で、『わかった』とひとこと答えてくれました。そのときの剛さんの澄んだ目の色を、僕はいまも忘れられません」

この部分を読んで、草彅剛さんが、本心ではどんなに悔しく無念だったんだろう、と改めて思いました。

実際に生放送で草彅剛さんが「ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています」と淡々と述べた際には、感情が分からない、無機質な感じがしました。きっと、感情を押し殺していたんですね。

他の4人、たとえば中居正広さんがこの辛いセリフを言うように求められていたら、果たして本番でちゃんと言えたでしょうか? もし生放送の本番でちゃんと言えなかったら、メリー氏の逆鱗に触れて即クビにされたでしょうか? ついつい想像をめぐらせてしまいます。

大スター・グループのSMAPが消滅→教訓

結果的に、生謝罪放送はメリー氏的には及第点だったようで、SMAPはその後も「SMAP×SMAP」を続けましたが、同じ2016年の8月14日未明に、年末をもって解散と発表されました。なお、2016年を通じて、SMAPの音楽番組出演は、ありませんでした。

私はライトなSMAPファンでしたが、今も生謝罪の衝撃と、5人のラストとなった2016年12月26日の「SMAP×SMAP」最終回は、忘れられません。

改めて推し活の教訓です。

「推しは推せるうちに推せ」「いつまでもいると思うな親と推し」

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