2024年夏の米不足はなぜ起きた?いつまで続く?―カギは新米出回り時期

2024年夏の思い出と言えば、パリオリンピックのような大イベントだけでなく、身近なところでは、「令和の米騒動」とでも言いたくなる、米不足がありました。

私自身も、いつもお米を買っているスーパーのコメ売り場の棚が、8月中旬頃からは、お昼どきに行くと空っぽになっていて、衝撃と恐怖を感じました。

2024年夏の米不足は、そもそもなぜ起きたのでしょうか。また、いつまで続く、あるいは、いつになったら解消するのでしょうか?

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2024年夏の米不足の原因は3つ、9月に解消し始める見込み、都市部は10月までかかるかも

米不足は9月には解消するとの楽観論が出ていますが、専門家の詳しい話によると、9月にに解消し始めるものの、完全に解消するのは10月だと思ったほうが良さそうです。 では、詳しく見てみましょう。

結論から言いますと、2024年夏の米不足の原因は3つありました。[1] 前年の精米生産の不振、[2] 外食需要の増加、そして、[3] 地震や台風への備えの買い急ぎ、の3つです。

米不足は9月には解消するとの楽観論が出ていますが、専門家の詳しい話によると、9月にに解消し始めるものの、完全に解消するのは10月だと思ったほうが良さそうです。 では、詳しく見てみましょう。

米不足の3つの理由―前年の精米量、外食増加、消費者の買い急ぎ

2024年夏の米不足について、農林水産省は長い目でみた理由を、2つ挙げています(朝日新聞DIGITAL の7月30日配信の記事)。

第一に、前の年の猛暑でコメの品質が低下し、精米時に量が減るコメが多かったとのことです。

第二に、コロナ禍からの回復や、訪日外国人客の増加などで、外食での消費が増えたことも影響しています。これは構造的、つまり今後もずっと続きそうな要因です。

さらに、第三に、今年の夏には、予備的な「買い急ぎ」が発生しました。坂本哲志農林水産大臣は、「8月に南海トラフ地震臨時情報や台風が重なり、『買い込み需要』が発生した」との見方を示しました(朝日新聞DIGITALの2024年8月27日配信の記事)。

「買い急ぎ」とか「買い込み」というのは、古くは石油ショック時のトイレットペーパー不足騒動、近年では2020年の2月から3月頃のコロナ禍の初期の段階でのマスク不足騒動がありました。

消費者が「急いで買わなくちゃ」と焦る心理状態になって、売り場に殺到することで、供給が追いつかなくなりました。

ところで、日本には、1993年の「平成の米騒動」をきっかけに1995年に導入された「備蓄米」制度というものがあります。なぜ使わないのでしょう。

この備蓄米の放出について、坂本農水相は8月30日の会見で、「米の需給や価格に影響を与える恐れがあるために、慎重に考えるべきだ」と話しました(朝日新聞DIGITALの2024年8月31日配信の記事)。

つまり、備蓄米は、よほどのことがなければ放出しない、ということであり、政府としては、今はまだその段階ではなく、備蓄米を放出しなくても米不足は解消できると思っている、ということです。

米不足は9月に解消し始める見込み、完全解決は10月か

米不足の解消見通しですが、カギは新米が出回る時期にあります。農林水産省によれば、今年のコメの生育は順調で、9月にはかなり商品が回ってくる見込みとのことです(CBC MAGAZINEの2024年8月30日配信の記事)。

実際、コメの産地では、9月に入って、新米の流通が始まっています。NHKによりますと、神戸市中央区にある産直施設「西播磨ふるさと特産館」では、9月に入って兵庫県内で収穫されたことしの新米が店頭に並び始めました(NHK NEWS WEB の2024年9月3日配信の記事)。

また、テレ朝newsでは、新潟県のスーパーでは4日から新米の販売が始まり、「こしいぶき」という銘柄が通常の10倍のペースで売れている、と伝えました(テレ朝newsの2024年9月4日配信の記事)。

しかし、コメの産地で新米が流通し始めたとしても、都市部のスーパーでも、米不足が解消するには、もう少し時間がかかる可能性が高そうです。というのも、専門家は9月に全て解決するとは、思っていない模様なのです。

JAあいち経済連の中村隆志氏は「愛知県内でも新米の収穫は始まっていて、店頭に徐々に並び始めるが、北海道・東北・北陸といった米どころの主力品種は9月下旬から10月上旬にかけて出荷されるので、それまでコメ不足は解消しないのでは」との見方を示していました(東海テレビの2024年9月3日配信の記事)。

また、卸売業者「木徳神糧」の今野稔上席執行役員も、「10月の中旬、下旬には全国の銘柄が出てくる。そのころには売り場に潤沢に商品が並ぶようになる」と話していました(前出のテレ朝newsの記事)。

したがって、都市部の米不足は9月中に解消し始めますが、完全な問題解決は10月頃にずれ込む可能性がありそうです。

米不足が完全解消までは、需要>供給、つまり価格が高くなる

米不足が少しずつ改善されても、すぐに完全に解消できないとなると、どうなるでしょう。

これは、需要が供給を上回る状態ですから、残念ながら、新米の価格が高くなる、ということになります。

私の近所のスーパーの例で言いますと、8月中旬になって、それまで毎週末に行われていたコメの割引セールが中止となりました。つまり、週末のお米の価格が実質的な値上げとなりました。

新米が少しずつ出回ってきても、「需要>供給」の状態が続く限り、価格は高めに設定され、それでもみんな仕方なく買うしかない、ということになりそうです。

ため息が出そうです。私としても、当面節約生活を続けるしかなさそうです。

あるいは、米飯を減らしてパンや麺類を増やすという方法もあります。コストパフォーマンスや好み・満足度などを考えて、総合的に判断しましょう。

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